〜「未知の世界/ミステリーゾーン」の時代とロッド・サーリング〜
この項では、古書店で探し出して来た古雑誌を中心に「未知の世界/ミステリーゾーン」の初放送当時のみならず、その前後の状況及び日本で紹介されたロッド・サーリングの作品とその足跡を年代順に沿って探ってみる。更に作品紹介の特集を組んだ雑誌も改めて紹介する。
古書籍の探求にあたっては、パイオニアが発売したLD-BOXセットVol.1に付属した資料【ミステリー・ゾーン日本研究誌チェック】をガイドとした。また、紹介する書籍は現在手元にある物だけに留め、この項が完全なリストではない事を予めお断りしておく。
・ページ数はコラムでも複数ページに渡る物はその枚数でカウントしてある。
・目次に記載された項目と実際のページの表題が異なる場合には、実際のページの記載を優先し表記した。
・表題に使われている旧仮名使い、特殊記号も可能な限り再現するように努めた。
・「構成:」「インタビュー」等の注釈が無い物は、氏名がそのページの担当者名である。
・担当氏名が無い物は、編集部による物か、氏名不詳。
・BUYER'S GUIDEは筆者の私見に基いている。
(文中敬称略)
掲載されたシナリオ「パターンズ」は昭和30年(1955)発表、翌年にはフィルダー・クック監督で映画化された。サーリングの都合6回に及ぶエミー賞受賞の最初の作品である。年度は不明だが「大会社の椅子」という邦題で日本のTVでも放送されている。
The TWILIGHT ZONEの本国放送開始は昭和34年(1959)10月、この雑誌の発行はそれから更に遡る事8ヵ月前の2月であり、「未知の世界」として日本に紹介される1年2ヵ月前である。サーリングは既に量質兼備の第一線級のTVドラマ作家として紹介されており、まだTwilight
Zoneが産声を上げる前の時代に彼の実力と名声が既に確固たる物であった事を示す重要な資料の一つである。
BUYER'S GUIDE:この号は¥7800で売られているのを発見。筆者は1〜3号合せて¥3000(1冊¥1000)で購入。
この項の中で『九〇分劇場』として紹介されているのは、CBSのPlayhouse 90の事である。文字通り90分枠のテレビ・ドラマ・シリーズでサーリングはこの番組用に複数のドラマを書いており、「重量選手へのレクイエム」 “Requiem for Heavyweight”('56)と「コメディアン」 “The Comedian”('57)で2年連続エミー賞を受賞している。ここでは、1958年6月19日放送の「街は騒動に向って進む」“A Town Has Turned To Dust”('98年にリメイクされた)の簡単なあらすじが紹介されている。
BUYER'S GUIDE:1・3号の2冊で¥5000で売られているのを発見。筆者は1〜3号合せて¥3000(1冊¥1000)で購入。
「SFマガジン」は昭和35年2月創刊、我が国初の本格SF雑誌である事に異論を挿む者はいないだろう。創刊2号である3月号では同年4月の我が国での放送開始よりも一足早く、The
Twilight Zoneを紹介している。
この号では、NTVから「未知の世界」と題され日本語版の放送が開始されてから3ヵ月程経った時期に同番組の木曾山プロデューサー自ら番組を紹介する文を書き下ろしている。番組タイトルが「未知の世界」に決まるまでの過程は特に興味深い。
福島正実による記事は米本国版1959年9月号に掲載されたチャールズ・ボーモントのThe
Twilight Zone参加当初のエピソードを紹介しており、これも第一線級の貴重な資料と言えよう。
BUYER'S GUIDE:’60年代のバック・ナンバーは全体的に相場は上がり傾向にある。地道に個人売買を探すのも良し、古書店で購入も良し。筆者は各バックナンバーをそれぞれ¥800〜¥1500で購入。
名作「十二人の怒れる男」の原作・脚本で知られるレジナルド・ローズは、'50年代テレビ黄金期をサーリングと共に駆け抜けた才能あるライターの一人。サーリングがエミー賞を6度受賞したのに対し、ローズも4度エミー賞に輝いている。サーリングがテレビ界で活躍する一方、ローズは「やぶにらみの暴君」「暴力の季節」と早くから劇場用作品に進出した。ローズが「スタジオ・ワン」Studio
Oneの為に書き同シリーズの中で映像化された脚本、“The Incredible World of
Horace Ford”(’55年6月13日放送)は後にハーバート・ハーシュマンによって買い取られ同タイトルでThe
TWILIGHT ZONEの第4シーズンの1エピソードとして映像化されている。無論、ローズとサーリングの間に旧交があった事は言うまでもない。
そのローズの昭和35年1月〜6月上半期のテレビ用ドラマについて紹介しているのだが、項目【[U]二つの野心作〈戦争もの〉】の中で度々引き合いに出されるのが他ならぬサーリングである。引用すると、『こうした脚色ものが多いなかで、オリジナルのテレビドラマをだすことは、きわめてむずかしい。話題作として、特筆されるようなオリジナルものは、そのなかでもごくわずかであり、今年度の上半期では、レジナルド・ローズとロド・サーリングの二人の作家以外には注目すべきいい仕事をのこしていないといっていいだろう』と評し、この時期のサーリングの傑作「私自身の敵の存在」“In
the Presence of Mine Enemies”('97年にリメイクされた)がテープ録画され「プレイハウス90」Playhouse
90で放送('60年5月18日)された事を紹介し、『このように、ローズとサーリングの野心作は、共に戦争を背景にした人間的苦斗を描いたもので、オリジナル大作が二つとも戦争から離れられないところに、日本と共通した特色が感じられる。』としている。
BUYER'S GUIDE:「テレビドラマ」は初期は現代芸術協会が発行し、後にソノレコード・テレビドラマ編集部発行となるので購入時注意。又、「月刊テレビドラマ」表記の場合もあるので検索時注意。
先ず、「ロド」は志賀の表記のままである。本人の肉声を聞くとRodはカタカナ表記ではむしろラッドに近いのだが、この様に「ロド」と表記されたものは志賀の記事で初めて目にした。
『ところが、このテレビ映画(作者註・The TWILIGHT ZONE。この時はNTV題「未知の世界」)はサーリングにしては、ほんのお金もうけの小手先の遊びにしかすぎないようです』・・・何て事を言うんだ!と怒りに震えてしまうが、これが恐らく当時のテレビ業界に於いてのSFに対する評価だったのだと、改めて認識してしまう。実際、社会派で「テレビ業界の最後の怒れる若者」とも評されていたサーリングのThe
TWILIGHT ZONEシリーズへの没頭振りは「転向」或いは「堕落」(南山宏による)とまで言われ、SFがまだまだ子供向けのプログラムだという認識しかなかった時代にあっては、かねてからサーリングを高く評価していた人々には不可解でしかなかったのである。
ここでは「パターンズ」「重量選手のための鎮魂歌」と共に'55年のサーリング脚本・アレックス・シーガル監督「拷問」(作者註・CBSとあるが恐らくABCの“The
U.S. Steel Hour”の中の1本“The Rack”ではないか?)が紹介されている。この作品はサーリングの仕事を紹介した物の中では非常にレア(?)である。
『さて、そのサーリングが、さいきん、つぎような(作者註・原文のまま)ことを書いています』以下に示されたサーリングの『テレビ保護説』は、些か解り難く、この文章の出典が示されていないのが残念である。
BUYER'S GUIDE:この雑誌のバック・ナンバーは1冊¥500〜¥3000と相場はバラバラなので、出来るだけまとめて入手したい。
The Twilight Zoneの第1シーズンが「未知の世界」題で日本テレビから放送後、第2シーズンがTBSから「ミステリーゾーン」として放送開始となった事を受けて組まれた特集記事が掲載されている。何気に「キング・ナイン号帰還せず」の撮影現場のスチルが掲載されており驚かされた。
昭和38年、TBSの招きでロッド・サーリングが来日した。11月4日同局ラジオ第1スタジオにて行われた講演と、その直後のTBS5階会議室に場所を移して行われた座談会の模様をかなり詳細に記載してある。また、口絵にある文章はサーリングが座談会の後で日本の若いライターと読者の為に特別にしたためた物である。
BUYER'S GUIDE:筆者は¥1500で購入したが、相場価格で妥当だと思う。
「テレビドラマ」12月号から3ヵ月後に、「SFマガジン」にサーリングのインタビュー記事が掲載された。しかしここには大きな疑問が一つある。記事によるとこちらのインタビューは『(38年の)10月末に』『TBS6階の会議室で』行われた事になっている。単純に別の場所、別の時刻に行われたインタビューであれば掲載時期の問題で片付けられるが、もしこの2つのインタビューが同年・同日の物であるとするならば、どちらかの記事が誤った物であるという事になってしまう。インタビュー内容自体、日本側からの質問はどちらも共通の物がありサーリングの回答も当然似通った物なので、今後の研究と解明が待たれる。
この記事は不思議である。内容は米本国での第3シーズンの終了と第4シーズンの開始までの顛末に触れているのだが、記事掲載の時期的には日本での第4シーズン放送開始(昭和39年9月)前である。しかし邦題は、既にTBSから「ミステリーゾーン」として足掛け4年放送されているにも拘らず「未知の世界」として紹介されているのだ。
そしてこの記事には決定的な誤りがある。『(The Twilight Zoneは)“Fair Exchange”という新番組のせいで視聴率がガタ落ちした』という記載は、何をどう勘違いした物であったのだろうか。
BUYER'S GUIDE:グラビア多用から当時の外ドラ・ファンの間で競争率高し。筆者は¥2000で購入。
実際に使用されたアフレコ台本とは異なり、マシスンのオリジナル脚本を元に翻訳されたものが掲載されている。
BUYER'S GUIDE:超レア本で入手困難。
作家の故・星新一氏による評論。テレビに惹きつけられる条件として、個性・計算・熱意・自信・信用の5項目を挙げて両テレビドラマシリーズの作家性に言及している。
BUYER'S GUIDE:筆者は¥1500で購入したが、相場価格で妥当だと思う。
順序は逆になるがTwilight Zoneのシナリオやノベライズ以外で、「テレビ研究2」掲載の「パターンズ」シナリオを除けばサーリング作品の訳出はこの「奇想天外 9月号」に掲載された『死の仮面舞踏会』"Death's Masquerade"だけである。初出はサーリングの1963年の短編集 "Rod Serling's THE TWILIGHT ZONE"(NEW YORK:Grosset&Dunlup,1963)だが、映像化はされなかった。『真夜中の太陽』は「狂った太陽」ep.75The Midnight Sun、『不死の条件』は「良心を売った男」ep.6Escape Clauseのサーリング自身によるノベライズの邦訳である。
BUYER'S GUIDE:筆者は創刊号¥1500、他号¥1000で購入。相場価格で妥当だと思う。
先ず「未知との世界」という表記は映画「未知との遭遇」の登場による混同、ないし誤植である。そして2号に渡る「全エピソード・チェック・リスト」に記載されたデータが、当時既に手元にあったデータ(未放映本数や初放映日付)とあまりに異なる事から、筆者のTZ研究は始まった。しかし何がどうであれ、当時はこの書籍以外に参考にする物が無かった為、貴重な資料だった。
BUYER'S GUIDE:TZとは関係無い特別附録のブロマイド人気の為か、妙なプレミアムが付いて1冊¥1800〜¥3000で売られているのを発見。筆者は各号¥510で購入。個人売買を狙うべし。
「劇場版」公開の年に組まれた特集。オリジナルのTVシリーズを回顧しつつ映画への橋渡しをスムーズに行う、これらの特集が個人的な研究の原点である事は言うまでもない。
BUYER'S GUIDE:相場的に¥400〜¥1500程度。筆者は各¥1000で購入。
CBS-FOXビデオが日本向けにTwilight Zoneを「ミステリー・ゾーン」として1巻2話収録で初ビデオ化した年の発行で、結果的に'90年代唯一の特集雑誌となってしまった。
BUYER'S GUIDE:意外にバック・ナンバーの中でもこの年代の物だけが抜けている場合多し。しかしレアという訳では無いので、状態が悪い物で¥300位から、状態が良くても¥800以下で。筆者は¥600で購入。
この書籍に関しては別項を参照の事。
BUYER'S GUIDE:普通にバックナンバーで入手可能(2003年7月現在)。古書店で買うなら¥300が妥当。
「奇想天外」1974年9月号に掲載された『死の仮面舞踏会』"Death's Masquerade"以来となるサーリング作品の訳出。初出はサーリングの1971年の短編集 "Night Gallery"(NEW YORK:Bantam,1971)。「四次元への招待」"Rod Serling's Night Gallery "の中の一篇"Lone Survivor"として映像化され、この話は幸いにして日本でも放送されている。
2年連続となるサーリング作品の訳出。初出はサーリングの1964年の短編集 "ROD SERLING'S THE TWILIGHT ZONE REVISITED"(NEW YORK:Bantam,1964)。「めぐりあい」ep.21Mirror Imageのサーリング自身によるノベライズ。
3年連続となるサーリング作品の訳出。初出はサーリングの1971年の短編集 "Night Gallery"(NEW YORK:Bantam,1971)。「ただ一人の生存者」同様、「四次元への招待」"Rod Serling's Night Gallery "の中の一篇として映像化され日本でも放送された。