from the making of The TWILIGHT ZONE “TOWER OF TERROR” /
「メイキング・オブ・ザ・トワイライト・ゾーン タワー・オブ・テラー」から

1939年10月31日・ハロウィーンの夜。ハリウッド・タワー・ホテルの13階の部屋へ行く5人の乗客を乗せたエレベーター。その時、突如雷鳴が轟き彼らはどこかへと消えてしまう。エレベーターごと・・・

1994年6月22日、アメリカフロリダ州にあるテーマパーク、ウォルト・ディズニー・ワールド内のディズニーMGMスタジオに新しいアトラクションがオープンした。"The TWILIGHT ZONE TOWER OF TERROR"と名付けられた、このフリー・フォール型のスリル・ライドは高さ199フィートの、架空の古びた「ハリウッド・タワー・ホテル」の外観を装いゲストはこの建物内のエレベーターに乗り込み、仕掛けられた「スリリリングな一時」と演出を楽しむといった趣向の物である。1996年と1999年の2回、演出を更にパワー・アップさせ現在の形となっている様で、2004年5月4日にはディズニー・カリフォルニア・アドベンチャー、2006年には総工費210億円をかけて東京ディズニーシーにも登場する予定である事が公式にリリースされている。
この項では、貴重な1994年当時のプレス・リリースを元にこのアトラクションのメイキングを追ってみる。



1989年にウォルト・ディズニー・イマジニアリング(Walt Disney Imagineering)が新しいスリル・ライドのデザインを依頼された時に、この「タワー・オブ・テラー」の物語は始まった。コンセプトを手掛けたチームは映画やTVショー或いは俳優達に、その新しいアトラクションの題材を求めていた。そして数多くの題材の中から特に目立っていたのがThe TWILIGHT ZONEだったのである。ショー・プロデューサーのライン・アキヤマは「The TWILIGHT ZONEは非常に向いていた」と言う。しかし、新しいアトラクションとなる「タワー・オブ・テラー」とオリジナルのThe TWILIGHT ZONEとの間には大きな違いがあった。「ゲスト(お客さん)はエピソードの一部となって演じる」とエグゼクティブ・デザイナーのエリック・ジェイコブソンは言う。ショー・ライターのマイケル・スプロートは「我々がしようとしているのはThe TWILIGHT ZONEの概観と質を再生する事だ。トーン、雰囲気、何もかもがゲストがあたかもそのエピソードの中に入って行った様に感じさせる。彼らは自分達がThe TWILIGHT ZONEに入って行こうとするのを経験する」と言う。彼らが言う事を実現するには、コンセプト、ストーリー、建物やライド・システムの全てが最終的にゲストを別次元へと誘う為に、別世界的な効果として機能しなければならない。これは言う程簡単な事では無かった。
当初、非常にシンプルなシステムのフリー・フォール型のアトラクションが考えられていたが、「私達が作ろうとするアトラクションは、ライドを逆に運転するべきだと気付いた事から、大きく変わった」とジェイコブソンは言う。ブレイン・ストーミングが繰り返される内、加速と速度そしてそれらと同様に、常にそのメーカーが少なくしようとしている衝撃と感覚を、それに乗るゲストに伝えるもの・・・エレベーター・タイプのシステムはどうかという提案があった。「技術的にはエレベーターではない」とアキヤマは言う。「エレベーターは適度なスピードでフロアーからフロアーへ人々を運ぶのに用いられる。つまり、我々の物はほんの数秒で約30メートル落下する」。この新しいアトラクションを動かす為のモーターも新しくデザインされた。通常のエレベータ用のモーターは彼らが考えるアトラクションの重量に耐え、速度を出す様に設計されていないからだった。しかしこの新しい大型のモーターはアトラクションの建物の外観を高くて細いものから低く太ったものに変えてしまう。だが、ジェイコブソンは言う「(プロジェクト・コンセプト建築家の)コールター・ウィンは最高の仕事をした。 彼が仕事を終えた時には、我々が思い描いていた通りの外観になっていた」。ハリウッド・タワー・ホテルの外観は20世紀初頭のカリフォルニアの、リバーサイドのミッション・インや、ハリウッドのシャトー・マーモントや、ロスのダウンタウンにあるビルトモア・ホテルの様なリバイバル・スタイルにインスパイアしている。スタジオに以前に作られたどの物よりも劇的だ、とジェイコブソンの言う造園は、ロスのグリフィス&エリシアン公園の茂みに覆われた丘を人々に思い出させる様に作られた。
こうして、1500トンの鉄鋼と13122立方メートルのコンクリートと27000枚のルーフ・タイルが用いられ、内装には撮影用の小道具ではない貴重なアンティークの品々、例えば約400年前の博物館級の椅子や19世紀のブロンズ像が飾られ、'30年代最高クラスのホテルの豪奢な雰囲気を持つ「タワー・オブ・テラー」は完成した。

この「タワー・オブ・テラー」の物語にはオリジナルのThe TWILIGHT ZONEからの引用―所謂「元ネタ」があるのだろうか?「多くの人が(トワイライトゾーンの中で)エレベーターのエピソードを覚えていないと私に言う。彼らは正しい。このエピソードはこのアトラクション用に我々が特別に作ったものだからだ」とショー・ライターのスプロートは話している。しかし一方で、「ロッド・サーリングをショーの中に当てはめようとする事は、我々が直面した最も大きな挑戦の一つだった。彼抜きでエピソードを語る事は出来ないと分かっていた」とスプロートは言う。この新しいアトラクション製作にあたって、主要なスタッフはプロップやその出演俳優達、セッティングや音楽を研究する為にオリジナルの全156話あるエピソードの述べ174時間に渡る試写を2度、更に3・4度と繰り返し試写されたエピソードを既に見ていたが、88秒という「ロッド・サーリングの出演シーン」を探す為に、オープニング・ナレーション部分だけの編集版を最低10回、繰り返して見る事になった。そうして探し出されたのが「こどもの世界」の冒頭のナレーション・シーンである。また、アトラクションのあるシーンで は「消えた少女」のある場面が参考にされていると言う。これらがアトラクションのどの場面で使用されているかは、実際に体験してのお楽しみというところである。



以上の様に「タワー・オブ・テラー」の製作スタッフもまた、多くの技術的な問題に直面し、演出に頭を悩ませ、そして如何にThe TWILIGHT ZONEのオリジナルの持つ雰囲気やその質を壊さずに新たなストーリーを語ろうとしていたかが伺える。
ネタバレを防ぐ為、演出に関わるメイキングのかなりの部分を割愛したが何となくその雰囲気が伝わっただろうか。
最後に、全くの余談ではあるがジェット・コースターに代表されるスリル・ライド大好き人間であり、国内の2つのテーマ・パークでの勤務経験を持つ作者が、このアトラクションを未だ一度たりとも体験していないのは痛恨の極みである・・・